特定非営利活動法人                        
エムエムサポートセンター
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「発達障害白書」に・・・!


原発避難と子育て不安
 1  MMサポートセンターはどこにある?
  福島県南相馬市は、東北地方で最も温暖な小都市である。2011(平成23)年3月11日に発生
した東日本大震災では、20m近い高さの津波が内陸に4〜5kmも押し寄せたが、海から8km、標高36mにあるNPO法人MMサポートセンター(民間の療育施設。以下、MM)は無事だった。
 その日MMに来ていたのは総勢約120人。1歳児から中学生が主だったが就職した成人も相談に来ていた。主な症状はADHDと自閉症スペクトラム。個別及び集団指導を行っていた。
 MMは福島第一原子力発電所から北にほぼ30kmの所にある。適所者の約3分の1が原発の10km圏内、約3分の1が20km圏内に住んでいた。そして95%以上の子らが原発事故後、他の地域に避難した。現在(2012〔平成24〕年4月中旬)の避難者は90%以上。今もMMの子らは九州から北海道まで散らばって生活している。



 2  町が消えた!子どもが消えた!
  現在、福島県には警戒区域や帰還困難区域・居住制限区域等に指定され、人の住めない地域
がある。大熊町・双葉町・浪江町・飯館村等である。避難指示区域が「解除」になったばかりの地域もたくさんある。しかし、県都である福島市や郡山市等にも線量の高い地域が多数ある。
県内の約2分の1の広さが以前のいわゆる放射線管理区域0・3マイクロシーベルト以上の線量である。福島県災害対策本部の2012(平成24)年3月8日調べの資料によれば、県全体の避難所等入所者数は3万547人、県外への避難者は6万2831人である。しかし、その他に自主避難者も多数いるため、正式な避難者数はわからないが、今も最低でも10万人以上の原発避難者がいる。年齢別の避難者内訳等ははっきりしないが、乳幼児や妊婦等がいて、家族バラバラの生活になった人たちの割合が高いことは想像にかたくない。



 3  避難中・避難後の子どもたち
  原発避難に関しては国の方針が決まっていないため、いまだ補償もなく、避難者はいまだ不安定な状態にある。大人が不安定であれば子どもはもっと不安定になる。発達障害児は「変化に適応しにくい」ことがら、さらに不安定になっている。
 避難先の保育所には空きはなく幼稚園にもすぐには入れない。学校での支援にも準備が必要である。震災前は地域の中で療育機関とも連携したからこその成長だったが、すべてのつながりは失われてしまった。避難先では、避難者も受け入れ先も「腰かけ」であることはわかっており、受け入れ期間も不透明なため加配等の申請すらできない。結局、どんな支援が受けられるかはすべて相手先次第となっている。積み重ねはすべて消えてしまった。



 4  つのる不安と子どもの状態悪化
  発達障害児は情報処理の仕方に際立った困難を抱えており、「何となく今はこうした方が良いらしい」というのがわからない。そのため自分ルールを作って安定を得ようとするが、それは周りの状況にそぐわない。そこで定期的・継続的・総合的な支援が必要になる。しかし避難先の療育機関には余裕はない。あっても特に高機能児を対象とした支援はほとんど見つからない。
 震災後2〜3カ月は緊張もあってどうにか目立たなかったものの、その後問題が顕在化した例も多い。MMでは電話相談や訪問支援・宿泊指導・送迎による支援等、できることはすべて行ってきた。しかし先の見えない状態が長引くにつれて子どもの状況は悪化する一方である。


 5  なぜ帰らないのか・帰れないのか、帰っても不安な理由

  以下に保護者たちから聞いた不安の理由を挙げてみる。
 @放射線量が高すぎる。家が立入禁止や強制避難区域にあり戻れない。A見えないものへの恐怖。とにかぐ怖い。B低線量被曝による免疫低下の心配。実質的には過去の医学的データがないのに、なぜ「大丈夫」といえるのか納得できない。いまのところ「直ちに」何か影響がある訳ではないと言われても‥‥‥。C二重被曝・三重被曝への不安。空気は大丈夫?水は?食べ物は?土地は?それらが全部が合わさるとどうなるの?D子どもの遊び場がない・運動ができない。どこで発散するの?E再爆発への不安。もし、もう一度地震が起きたら?
もし、冷温停止が失敗したら?F医療への不安0病院の医師・看護師不足、どこに行けばいいの?G仕事がない・なくなる。学校がない・なくなる。友達がいない・いなくなる。H元の学枚への不信感。避難先の学校の方が対応がうまく、教育の質が高い。R交通機関や道路が復旧せずインフラがない。J戻る必然性がなくなった。新しい土地になじんで再出発したい。
わざわざ原発に近い所に戻らなくとも‥‥‥。K正しい情報が得られない。国の言うことは正しいのか?東京電力の言うことは?県は?市・町は?研究者は?学校は?何を、誰を信用していいのかがわからない。L障害(発達障害・病気等も含む)があるのに、これに加えてガンにまでなったのではたまったものではない。Mあきらめ。もう誰も信じられない・もうどうでもいい・仕方がないものは仕方がかい疲れてしまった…‥。



 6  みんなが言うことば「戻っても地獄・戻らなくとも地獄」

  原発事故に対して、一般的には「被曝」が不安なのだろうと思う人が多い。しかし、実際には、そんなに生やさしいものではない。被曝そのものへの不安は当たり前であるが「日常生活の破壊」こそが根本の問題である。地域の集合体がなくなったこと、家族が離れ離れになったこと、家や地域に帰れないこと、家に帰れても生活が成り立たないこと、外で遊べないこと、水や食べ物を安心して口にできないこと、畑で野菜が作れないこと……。今までありがたいとも思わなかった“普通”の生活をすべて失ってしまったことの不安が、実際の被曝不安であり、その不安が大きければ大きいほど子育てへの不安がつのり、悪循環が悪循環を呼んでいる。
どこに住んでも地獄!これが原発事故1年後の親たちの思いである。


  (特定非営利活動法人MMサポートセンター/S・空間 谷地ミヨ子)    
 
参考    読まれる方へ   
発達障害白書 2013年版(CD-ROM付)     発 行 (株)明石書店  定価(本体3,000円+税) 
                 編集者 日本発達障害福祉連盟

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